事例紹介

自動車座席用クッション材の脱気用真空排気装置のご紹介

 

今回紹介するのは、自動車座席用クッション材として使われるウレタンフォームの製造工程向けに、弊社の真空排気装置を納入させていただいた事例です。

 

ウレタンフォームの製造工程の一つに、ウレタンフォームの周囲で可燃性ガスを爆発させることによる除膜処理があります。この工程では可燃性ガスを導入する前にウレタンフォームの周囲から空気を排気し、また爆発後の残ガスを排気する必要があり、ルーツ真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ)R6002RD2500液封式真空ポンプW1800Tの組合わせによる真空排気装置を納入しました。

 

 

ウレタンフォームはNCO(イソシアネート)基を有するポリイソシアネートとOH(ヒドロキシル)基を有するポリオールを、触媒、発泡剤、整泡剤などと一緒に混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせて製造されます。

 

ウレタンフォームは、軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームに大別されますが、気泡が連通した軟質ウレタンフォームは軽く、クッション性・耐久性に優れ、硬さのバリエーションが豊富で、主としてクッション性を活かした分野に使用されます。一方、泡の一つ一つが独立した気泡になっている硬質ウレタンフォームは、優れた断熱性を持ち、主として断熱性を活かした産業資材として使用されます。

 

軟質ウレタンフォームの用途の一つに、自動車の座席用クッション材があります。自動車の座席で使われる軟質ウレタンフォームには、路面からの振動を吸収する、運転中の体を支えるなど様々な機能が求められます。それを実現するために、配合設計技術、原料の選定、製造技術など様々な技術が用いられますが、通気性を向上させるための除膜処理もその一つです。

 

 

通常のウレタンフォームは、発泡した後、泡と泡が触れているところには「膜」がそのまま残っている状態です。そのため、気密性や耐水性に優れた性質を持つことになります。一方、除膜処理は、この「膜」の部分を取り除き骨格だけの状態にします。通常のウレタンフォームとは異なり、除膜ウレタンフォームは通気性や水切れ性に優れた特性を持っています。

 

ウレタンフォームの除膜にはいくつも方法がありますが、代表的な方法は、爆発性のガスを用いて、爆発エネルギーによる破膜を用いることです。今回の真空排気装置で使用する除膜処理装置では、まず処理を施すウレタンフォームをチャンバー内にセットして真空排気装置で真空引きします。そこに可燃性ガスを封入して点火、爆発させると、ウレタンフォームは膜を取り除かれた骨格だけの状態になります。チャンバー中の残ガスを排気したのち、大気圧に復圧すると、除膜されたウレタンフォームをチャンバーから取り出すことができます。

 

[真空排気装置イメージ画像]

 

除膜処理装置はバッチ式装置で大気圧から目標圧力へと繰り返し排気が必要になるため、今回納入した真空排気装置では、主ポンプには大型のルーツ真空ポンプR6002R2500を2段直列に使用し、大排気速度を実現することで短いサイクルタイムを可能にしています。またそれぞれがインバータ駆動させることで、高圧からの起動が可能なことも、短いサイクルタイムに寄与しています。

バッチ式装置での大気圧から目標圧力への繰り返し排気では、大気中の水分の吸引が問題になるため、真空排気装置の最終段補助ポンプには、水を含んだガスに強い液封式真空ポンプW1800Tを使用しています。液封式真空ポンプの前段側にはアトモスタ(空気エジェクタ)を取り付けて、より低い到達圧力を得ています。

 

また、除膜処理でウレタン端材が生じるため、ダストトラップをR6002の前段及び液封式真空ポンプ(アトモスタ付き)の前段に設けて、ポンプへの吸引を防止しています。そして可燃性ガスを扱う危険個所に設置されるため、各ポンプを駆動するモータは防爆型としています。

 

[真空排気装置系統図]

 

産業分野によって必要とされる真空環境は様々です。お客様のニーズに合わせた最適な真空環境をつくるためには、様々な真空システム(排気ユニット・真空ポンプセット・真空装置)が必要となり、大阪真空はそれに応える幅広いラインアップの真空製品を提供しております。また、真空システムの設計、構成、製造において創業以来70年間に蓄積された技術力、経験と実績を有しており、高真空から低真空までの真空ポンプ、真空コンポーネントなどの単品販売だけでなく、それらを真空システムに組み込んだ状態で提案可能です。ぜひ当社までお問合せください。

 

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