事例紹介

超伝導電磁石用高真空排気装置のご紹介

今回は、超伝導電磁石の断熱層を排気するのに使用される、ターボ分子ポンプを主ポンプとした高真空排気装置を紹介させていただきます。

 

通常の常伝導電磁石は、強い磁界を発生させるには大きな電力を必要とし、また発熱も大きくなってしまいます。しかし、非常に低い温度で電気抵抗がゼロになる超伝導現象を利用した超伝導電磁石は、小型かつ省電力でより強い磁界を発生させることができます。超伝導電磁石は、その強い磁界が可能にする様々な応用分野で使われています。

 

[MRI装置のイメージ写真]

 

代表的な応用例として、以下の3つがあります。

 

  1. MRI(磁気共鳴イメージング)装置

MRI装置は、X線などの放射線を使用せずに人体の断層撮影を可能にします。MRIは磁界中で水分子の水素原子が特定の周波数の電波と共鳴する現象を利用して、水の分布の濃淡を画像化します。その感度が磁界の強度に比例するため、強力な磁界を生み出す超伝導電磁石が高性能なMRIには使用されています。またMRIでは磁界の安定性も重要ですが、液体ヘリウム等で一定の温度に冷却される超伝導電磁石は、電気抵抗がなく一定電流が減衰なく流れ続けるため、安定性の面でも優れています。

 

  1. 重粒子線治療装置

重粒子線治療装置は、がん治療において開腹手術をすることなく腫瘍組織に重粒子線を照射するための装置です。これまでのX線やガンマ線による放射線治療に比べて副作用の小さい治療法として期待されています。重粒子線治療装置に高エネルギーの重粒子を供給する加速器にも超伝導電磁石は使われます。超伝導電磁石の強い磁界は、重粒子を光速の70%以上もの高エネルギー状態に加速する加速器の小型化を可能にします。

 

  1. シリコン単結晶引き上げ装置

半導体の原材料となるシリコン単結晶を製造するために、シリコン単結晶引き上げ装置が必要になります。高純度化された多結晶シリコンをるつぼ内で溶解させ、これに種結晶を入れて回しながら引き上げると種結晶と同じ原子配列の単結晶インゴットが出来上がります。大口径のシリコンウエハーの品質向上のために、るつぼに磁界を印可して、電磁ブレーキ効果で溶融液の対流を抑えるために超伝導電磁石は用いられています。

 

多くの超伝導電磁石はNbTi系の超伝導材を使用しています。NbTiの臨界温度は9.2 K (-264℃) であり、4.2 K (-269℃) 以下の液体ヘリウムで冷却されます。超伝導電磁石を低温に保つための魔法瓶構造の機器をクライオスタットと呼んでいますが、この中で超伝導電磁石は液体ヘリウムにより極低温に冷却されます。クライオスタットでは高真空に保たれた真空断熱層と温度シールドが液体ヘリウム槽を取り囲み、液体ヘリウムの蒸発量を小さく保ちます。今回紹介する排気装置は、その真空断熱層の排気に使用されます。

 

[真空排気システムイメージ画像]

 

今回超伝導電磁石用クライオスタットの真空断熱層排気用に納入させていただいた高真空排気装置は、オイルフリーでメンテナンスフリーな磁気軸受形で、10-6Pa以下の超高真空まで排気可能な1000 L/sクラスの複合分子ポンプであるTG1300Mを主ポンプとし、経済的で信頼性の高い1000 L/minクラスの2段式油回転ポンプVRD65を荒引/補助ポンプとした構成になっています。装置は可搬式であり、ポンプ等の機器一式は車輪のついたカートに取り付けられています。ポンプはどちらも空冷型で、またバルブ駆動用の圧縮空気を供給するコンプレッサーを装置内に持つため、排気装置はAC200Vの電源供給のみで、吸気口に接続された容積内を自動運転で超高真空まで排気します。排気装置の操作はカートに取り付けられた制御盤から行います。

 

[真空排気システム系統図]

 

産業分野によって必要とされる真空環境は様々です。お客様のニーズに合わせた最適な真空環境をつくるためには、様々な真空システム(排気ユニット・真空ポンプセット・真空装置)が必要となり、大阪真空はそれに応える幅広いラインアップの真空製品を提供しております。また、真空システムの設計、構成、製造において創業以来70年間に蓄積された技術力、経験と実績を有しており、高真空から低真空までの真空ポンプ、真空コンポーネントなどの単品販売だけでなく、それらを真空システムに組み込んだ状態で提案可能です。ぜひ当社までお問合せください。

 

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