事例紹介

液化水素基地の断熱排気システムのご紹介

 

今回は、液化水素貯蔵タンクの外槽と内槽の間の断熱層を排気するために、ルーツ真空ポンプRD1500RD600、スクリュー型ドライポンプを組み合わせた排気ユニットPRD15-6-16を粗引き排気として納入させていただいた事例を紹介いたします。

 

日本は「2050年の温室効果ガス排出ゼロ」を打ち出していますが、その中で水素はCO2を排出しないエネルギー源として、大きな役割を果たすことを期待されています。業務用や家庭用の燃料電池や燃料電池車も実用化が進み、水素ステーションの整備も進むなか、水素を大規模に供給するためのサプライチェーンについても、技術確立と実証試験が進んでいます。船などで運搬された液化水素を受け入れ、貯蔵する液化水素基地の液化水素を貯蔵するためのタンクも、水素のサプライチェーンを構成する重要な要素の一つです。

 

水素はマイナス253℃に冷却し液化することにより体積は気体の800分の1となり、効率的に貯蔵、輸送することが可能になります。水素を液体で保持するには、マイナス253℃という極低温状態を維持する必要があります。その温度を超えると水素は急速に蒸発し、蒸発した水素はタンク内の圧力を上昇させます。水素によって上昇したタンク内圧力は一定以上になるとタンクを破裂させる危険がある為、大気中に放出して圧力を下げる必要があり、水素を無駄に捨てることになってしまいます。そのため、マイナス253℃を維持するのに必要な高度な断熱保冷性能を実現できるよう、タンクは2重構造になっています。

 

その外槽と内槽の間には断熱材が充填され、また10-3Pa以下の真空に維持することで、熱伝導率を低く、断熱効果を高く保ちます。

 

[真空排気システムイメージ画像]

 

納入させていただいた排気ユニットPRD15-6-16は、ルーツ真空ポンプ2台とドライポンプで構成され、制御盤を共通ベッド上に設置したコンパクトなシステムです。真空断熱層の大容積を粗引き排気するのに必要な30,000 L/min 近くの排気速度と1.33 Pa以下の到達圧力を得るために、ルーツ真空ポンプを2台直列に使用しています。またバルブ開閉のための圧縮空気を供給するオイルフリーベビコンも共通ベッド上に搭載しており、電源と冷却水の供給のみで運転可能です。屋外に設置して運転するため、制御盤や電気品には雨水対策が施されています。ルーツ真空ポンプはインバータを介して駆動されるので、大気圧から起動が可能で到達圧力まで効率的に連続自動運転ができます。またドライポンプの吸気口に緊急遮断用圧空ボール弁を装備することで、停電等の異常停止時に断熱層の真空度が低下することを防ぎます。

 

排気ユニットPRD15-6-16は、巨大な断熱層を粗引き排気するために必要な、長時間の連続運転に耐える信頼性で、液化水素タンクの断熱保冷性能の実現を支えます。

 

[真空排気システム系統図]

 

産業分野によって必要とされる真空環境は様々です。お客様のニーズに合わせた最適な真空環境をつくるためには、様々な真空システム(排気ユニット・真空ポンプセット・真空装置)が必要となり、大阪真空はそれに応える幅広いラインアップの真空製品を提供しております。また、真空システムの設計、構成、製造において創業以来70年間に蓄積された技術力、経験と実績を有しており、高真空から低真空までの真空ポンプ、真空コンポーネントなどの単品販売だけでなく、それらを真空システムに組み込んだ状態で提案可能です。ぜひ当社までお問合せください。

 

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