事例紹介

接着剤原料の減圧蒸留用蒸気エジェクタのご紹介

 

先ず「減圧蒸留」とは何か、身近な物で説明していきたいと思います。

 

最近、日常的に嗜まれている方も多い焼酎のボトルラベルに、「常圧蒸留」や「減圧蒸留」と記されていることはご存知でしょうか。

 

 

[焼酎蒸留のイメージ写真]

 

ご存知のように、発酵させたお酒のアルコール度数をさらに高めて強いお酒を造りだす工程が「蒸留」となります。穀物アルコールの沸点は大気圧下で約78℃で水の沸点100℃より低いので熱を加えていくとアルコールが先に沸騰します。この沸騰したアルコール蒸気を回収することで、純度の高い、つまり度数の高いお酒を造ることができるのです。

 

前述の沸点は圧力が大気圧(常圧)のものですが、圧力を大気圧以下(減圧)にすることでアルコールの沸点は下がります。減圧蒸留とは蒸留釜の気圧を下げて低温(40℃~50℃)でアルコールを蒸留することになります。低温で蒸留することで原料由来の成分(匂い)や雑味の元になる成分の抽出が抑えられてクセのないすっきりした匂いの少ないお酒が出来上がります。

さて今回紹介するのは、接着剤の原料となるポリブデンを製造する石油化学プラントで、その減圧蒸留工程で真空排気を行う蒸気エジェクタです。

 

[石油化学プラントのイメージ写真]

 

石油化学プラントでは、日常を便利にする多種多様な機能材料が生産されています。潤滑油や接着剤の原料となるポリブデンもその一つです。日常粘着テープの形でもよくお世話になる接着剤ですが、化学の進歩と共により高機能の接着剤が開発され、今では自動車のボディの接合に使われる構造用接着剤など、これまで使われていなかった分野にも用途は広がっています。このような高機能な接着剤やシーリング材の原料となるポリブデンは極めて安定な液状ポリマーです。

 

蒸気エジェクタは、高圧蒸気の運動量で気体を排気する真空ポンプです。

大排気量を実現することが可能で、機械的な可動部分がなく構造も簡単であるためメンテナンスフリーでの連続運転が可能、また水蒸気や溶剤蒸気などの凝縮性気体の排気にも適しているため、石油化学プラントでの使用に適したポンプです。

 

[蒸気エジェクタ排気システムイメージ画像]

 

今回納入した蒸気エジェクタは、吸気口圧5 kPaの1段ブースタ式2段エジェクタです。中間コンデンサであるシェル&チューブ式のコンデンサの側面にエジェクタを配置したコンパクトなシステムとなっています。また最終段のエジェクタの排気口にはサイレンサーが取り付けられ、排気口からの騒音を低減しています。

 

[蒸気エジェクタ排気システム系統図]

 

既設の蒸気エジェクタは30年以上メンテナンスなしで使用されていましたが腐食が進行していたため、それを更新する蒸気エジェクタを納入させていただきました。

 

大阪真空は、真空システムの設計、構成、製造において創業以来約70年間に蓄積された技術力、経験と実績を有しており、お客様のご仕様に合わせて最適な真空システムを提案することができます。ぜひ当社までにお問合せください。

 

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